大丈夫

大丈夫じゃない

雲ひとつない快晴の空は

どこへでも行けるようなカラッとした気持ちよさと、どこへも逃げられないような泥濘じみた気持ち悪さが同居した途端、喧嘩し始めて終わりが見えず途方に暮れる感覚に陥るので時たま吐きそうになる。わたしのいる空間が、宇宙まで直に区切りもなくこれでもかと強烈に広がっていてつながりすぎる気がしてしまうのとわたしの意識が瞬時に宇宙まで飛んでいきそう。この気が時折気分を悪くさせる。夜の方が明らかに宇宙と強烈につながっていると思うし逃げ場ないと思うし宇宙にいるようなもんだけど大丈夫なんだなこれが。多分既に宇宙だと割りきっている。宇宙感の弱い星の見えない昼の方が得体の知れないものに近い感覚があるのかもしれない。いつか鏡張りの時期にウユニ塩湖を訪れて雲ひとつない快晴だった場合、瞬時に逃げ場のなさによる気持ち悪さ、具体的には不快感と戸惑いと恐怖が入り交じった感情が、骨の髄から皮膚まで全身が満たされるのが容易く想像できる。恐ろしさのあまり今にも震え上がるし吐きそう。雲が必要。雲は広すぎる空間に一旦区切りを与えてくれるのとわたしの意識が宇宙に行ってしまうのを止めてくれるのでどこへも逃げなくていい。安心する。雲は偉大。

2017.5.28